テーマ:海鼠壁(なまこかべ)の工法一例
島かべドカッと!を利用した海鼠壁工法について
はじめに
台風などの風雨による被害が大きい地域で土蔵などの腰回りや雨掛かり部分は瓦張りされておりこれらの瓦と瓦のつなぎを漆喰で盛り上げた部分を海鼠漆喰(海鼠壁)といいます。
海鼠壁は、瓦を横や菱形に張り、目地部分に盛り上げられた漆喰により各地域に見ることのできる多種多様なデザインがあり、迫力のある尚且つ美しい風景を展開してくれます。
海鼠壁という名前の由来は、瓦と瓦の目地をかまぼこ型に盛り上げた漆喰の断面が、海鼠(なまこ)に似ていることからつけられたといわれております。
もともとは瓦下見というタイルを張るときのようにし、漆喰で目地を凹めたものでしたが、目地から水が浸透しやすく、裏に回った湿気が瓦の剥離を早めるので、後に目地を盛り上げる工法になったともいわれております。
① 下地瓦取り付け
海鼠壁は、小舞荒壁下地の躯体に下地板を張り、その上から瓦の四隅に穴を開け釘止めして止めたり、小舞荒壁表面に竹釘や鉄くぎを打ち込んで止めたりしている場合が多いです。
近年では、モルタル下地も増え、瓦ではなくタイルの使用も多く、タイルボンドなどで貼り付け固定する場合も多いようです。
② 島かべドカッと!で海鼠の芯材を作ります。
瓦の間(目地)を10㎜~15㎜程度開け、タイルの要領で目地部分にドカッとを注入し、かまぼこ状に盛り付け下地を作ります。
完全乾燥
③ 島かべ練り漆喰で上塗りを行います。
島かべ練り漆喰を乾燥した芯材(ドカッと)に2mm程度で塗ります。水引き加減を見ながら鏝等で表面を整えていきます。
道具は、海鼠の大きさやデザインにより違いがあるため、大抵の場合は手作りで行う。
島かべ練り漆喰が海鼠壁の仕上げに向いている理由!
練り漆喰の特徴は厚塗りが可能な事、また海藻糊が入っているので乾燥が遅いことなどの特徴により、海鼠のような手間と時間のかかる仕事には非常に向いています。
通常の漆喰で、乾燥したドカッと上に漆喰を塗れば乾燥が早く、表面を整える間に乾燥したりブツが出たりする。
練り漆喰は、そのようなことからも海鼠壁には使いやすい材料です。
また、油が配合されているので十分な鏝押さえを行えば耐久性も向上します。
下塗り(下地目地埋め)材料 下記からご確認いただけます。
- 手順1