日本の食文化「天ぷら」を最高に美しく、そして旨く
この度オーダーの依頼をいただいたのは、店舗デザイナー様。新しく建築する、「高級天ぷら専門店」の案件でご相談いただきました。
お店のコンセプトは【美意識を持って人生を愉しむ「日本人の心」を伝える】です。
天ぷらという日本の食文化を通じ、美しさを感じながら、おいしい食事も愉しんでいただくことでお客様に満足していただくことを目的としています。
美しさは出来上がってきた、天ぷらの見た目だけではありません。素材によって変える衣の付け方、揚げ時間など天ぷら職人の技の美しさ、また、そんな職人技や出来上がってきた天ぷらが映え、食事を愉しめる空間づくりも大事な要素です。
そんな空間づくりの素材として、デザイナー様が思い描いたのが「土壁」の空間。日本の食文化が映える空間にはピッタリ合うと思いついたようです。
ただし、ただの「土壁」の空間では美しさは伝わらないので、オーダーでのご依頼となりました。
「土壁」の表面強度、吸い込みの問題
依頼いただき開発をはじめましたが、苦労した一つ目は強度の部分。通常の「土壁」は表面強度はそれほどなく、荷物が壁に擦れると、表面がポロポロ落ちることがあります。この度は店舗内部なので、そうならない強度が必要です。
強度を担保するため、ケミカル素材を混ぜるのですが、ケミカル素材を混ぜすぎると「土壁」の表情が変わり、自然の土っぽさが無くなってしまいます。
必要な強度と自然の土の感じを残す、配合のバランスが非常に大変でした。
もう一つ苦労したのは、表面から吸い込みをできる限り抑える対策です。
大きな換気口が設置されているとはいえ、跳ねた油が飛んだり、調理も行うので、水しぶきも考えられます。
それらを吸い込んでしまうと、シミとなって壁面に残ってしまう可能性があるため、100%は無理でも、吸い込みを抑える対策が必要なります。
この吸い込みを抑える対策も強度と同じで、ケミカル素材を使用するのですが、使用しても自然の土の表情が変化しないようにする調整が難しかったです。
これらの難題をクリアし、採用いただいた完成現場が下記になります。
カウンター向い側の壁はダウンライトとの相性が良いよう、上部は削る、たたくを利用し凹凸を作り、下部は凹凸との対比で滑らかなデザインに。
カウンター横の壁はインパクトある、割れ壁にしました。
この空間で食事だけでなく、日本の食文化、天ぷら完成後の美しさ、できるまでの職人技の美しさ、日本の伝統建築素材「土壁」による空間の美しさも愉しんでいただければと思います。
当社ではお客様の建築イメージ、コンセプトを実現する、壁材、床材のご提案をしております。
多彩な空間を彩る壁や床の質感、表情をゼロから開発し、形にします。
「こんな感じにしたい」「こんな風にならないかな」「こんな仕上がりになれば実現できるかも」などがあればご相談ください。