近畿壁材 | 匠に役立つ塗り壁ブログ
MENUメニュー

匠に役立つ塗り壁ブログBLOG

2022/03/19(土曜日)塗り壁に使う赤い顔料|ベンガラ(弁柄or紅柄)ってなに?!

 

ベンガラは、伝統的な顔料で味わいのある色味!

 

江戸時代にインドベンガル地方から輸入され広まったと言われる「紅柄(べんがら)」。

本当は天然素材として産出する赤い鉄鉱石ですが、現在の市販品は酸化鉄赤として工業用に作られたものになります。

ベンガラの表記は様々、当社では「紅柄」と表記していますがは、一般的に「弁柄」とも表記されることもあります。

漆喰壁やその他の塗り壁の顔料以外にも、塗料や防錆材、クレヨンやインクなど様々な着色顔料として使われてきました。

滋賀県なんかを車で走っていると、住宅の柱が「赤」だったりしますが、これも防腐剤代わりにベンガラを塗っているそうです。

 

紅柄で着色したデザイン!

 

このデザインは、白い土壁をベースに紅柄で着色しています。

その結果、紅柄の淡い赤色が和風の雰囲気を醸し出して、落ち着いた仕上がりになりました。

どうですか!?紅柄を使って着色したデザインも味わいがあっていいですよね~。

 

漆喰など塗り壁の赤色の着色に、ぜひ「紅柄」をお試しください!

 

2022/03/18(金曜日)伝統の左官仕上げ|大津壁を施工する場合のポイント

施工するまでの適度な練り置きが大事

 

大津壁は「色土」「石灰」「すさ」の3つの素材を調合し、水で練ったものを上塗りする仕上げです。漆喰のように海藻糊は入っておりません。
この海藻糊を混ぜない、入っていない事が、施工をより難しくしています。要するに大津壁を施工するには高い技術が必要になるということです。

それではここで少しおさらいです。漆喰や土壁に混ぜる海藻糊の役割、みなさん覚えていますか。

 

 

海藻糊の一番大きな役割は、塗り壁材料の保水性を高めて作業時に水不足にならないようにする事です。水不足になるとドライアウト(急激乾燥)が起きて剥がれ落ちたり、強度不足になったりします。

また、保水性があまりない仕上げ材は薄く塗ることが難しくなります。薄く塗るとすぐ乾燥し、作業性が悪いためです。作業性を優先すると厚塗りになりがちで、その結果、収縮クラック(割れ)が発生したりします。

海藻糊を混ぜない大津壁は保水性が高い材料とは言えません。しかし、仕上げ塗りは2ミリ程度と薄いため、その他仕上げ材料と比べると乾燥はどうしてもはやくなります。
このような材料を施工するには、乾燥するまでの短時間で均一に塗り付け、鏝跡を消していく技術と正確性が必要になります。

 

■保水性を補うための練り置き

 

動画でもご紹介しておりますが、実際に大津壁を作り塗ってみました。練り置きはせず、作った大津壁をすぐ塗ってみたのですが、やはり乾きがはやい!なので作業は手際よくしないと平滑にもできません。

乾きがはやい理由には糊が入っていない事ももちろん影響していると思いますが、粘土分の多い土の性質もあるように思います。

大津壁の素材を調合し水で練った時、自分にとって一番塗りやすい固さ、練り加減になるように調整しましたが、練ってから10分程度で材料がかなり締まって固くなりました。

大津壁には粒子の細かい、粘土分の多い色土を使用しますが、粒子が細かいため土の細部まで水が浸透するには時間がかかり、練ってからもじわじわ水を吸っていくためこのような現象が起きたのだと感じます。

これが乾燥を早くしたもうひとつの理由です。なので、この現象を改善するためには、練り置きが有効であると思います。

 

 

土と石灰を混ぜるため、漆喰のように長期間の練り置きはできませんが、大津壁を施工する前日に水で練っておき、施工する直前に再度水を加えながら塗りやすい固さに調整する。

これを行うだけで保水性はかなり改善されると思います。

 

■すさにも十分に水分を吸わせる

 

もうひとつ練り置きをおすすめする理由は素材のすさにも十分に水分を吸わせたいからです。

水で練ってすぐの麻や紙のすさは、水分を吸いきっておらず、ピンピンと立っており、塗り付けた時、すさを引きづったような表面になりました。

引きづった表面を直そうと鏝をとおしましたが、なかなか平滑にすることはできませんでした。

この現象を改善するのにも練り置きし、すさに水分を吸わせることが重要だと感じました。

 

 

その他、大津壁の関連ブログは下記のバナーをクリック!

伝統の左官仕上げ|大津壁とは?

伝統の左官仕上げ|大津壁の素材(原料)について

伝統の左官仕上げ|大津壁の配合(レシピ)について

 

大津壁の事ならお問わせください

2022/03/15(火曜日)伝統の左官仕上げ|大津壁の素材(原料)について

素材は色土・石灰・すさの3つ


おさらいになりますが、大津壁とは色土(浅黄土・黄土・白土など)と消石灰や貝灰を混ぜ、つなぎ材として麻すさや紙すさを加え、水で練ったものを上塗り仕上げした壁です。漆喰などとは違い糊は入っておらず、施工には高い技術が必要になります。

石灰を混ぜるため、大津壁は漆喰のように思っている方が多いようですが、素材としては色土の方がはるかに多く使用するため、実はどちらかと言えば土壁になります。

そんな大津壁の中で一番の割合をしめる「色土」ついて少しお話します。

一番素材として多く混ぜる、使用するのが「色土」になりますが、この色土はなんでも良いわけではありません。
とは言え、現在は採取できるところも限られ、色土自体の希少価値も年々高くなっているのですが・・・

すいません!余談でした!

大津壁に使用する色土は土物砂壁とは違い、粘土分がより多いものが良いされています。
具体的によく使用されるものをご紹介すると、弊社がある淡路島の浅葱土、京都の黄土、岐阜の白土などは、昔からその土の色と粘土分が高い特長を活かし、浅葱大津、黄大津、白大津などと言われております。

また、大津壁仕上げの塗り厚は2㎜程度と薄いため、粒度が粗い土は使用できません。篩いにかけ、粗い部分を取り除いた、きめ細かい色土のみ使用するこができます。

このように「色土」と言っても大津壁の素材として、クリアしないといけない課題があるので、さらに希少価値が高くなります。

当社には篩い分けし、そのまま大津壁の素材としてご利用いただける各種色土を販売しております。

■大津壁にすぐ使える色土はこちらから・・・

大津壁を見かけることは少なくなりましたが文化財補修の現場や、着色剤(顔料)とは違う、石灰の白色がまざった素朴で優しい表情から選ばれる方も居ます。

 

その他、大津壁の関連ブログは下記のバナーをクリック!

 

伝統の左官仕上げ|大津壁を施工する場合のポイント

 

もし大津壁施工のご依頼を受け、素材でお困りの方がいればお問わせください。

匠に役立つ塗り壁ブログ

CATEGORYカテゴリー

ARCHIVE月別アーカイブ