「色土」と「石灰」と「すさ」だけを混ぜたのが大津壁
大津壁の歴史は古く、江戸時代から土蔵の仕上げに使われてきました。材料は、色土・石灰・すさ(麻すさ、紙すさ)のみで仕上げます。
大津壁は、漆喰とは違って糊材を使わないので、粘土分の多い色土が使われてきました。
有名なもので言えば、白土、黄土、浅黄土などがあげられ、特に浅黄土は当社がある淡路島で採掘される土です。
大津壁は、土によって色が変わり呼び名も変わります。
例えば、白土だと「白大津」、黄土だと「黄大津」、浅黄土だと「浅黄大津」という呼び名になります。
名前の由来は滋賀県産の【江州白】と呼ばれる白い土だと言われており、この【江州白】を採取していた場所が滋賀県の大津だったため、「大津壁」の名でその工法が全国に普及したとも言われています。
このように土によって大津壁は、色や呼び名が変わる仕上げ材なんです。
■大津壁と色漆喰の違い
色土を使って着色する大津壁は、漆喰を着色した色漆喰とは違い色ムラが起きにくいとされています。
理由は漆喰の色ムラの原因になるのは石灰だからです。
石灰は、雨や水に触れると白華(エフロ)という現象が起き、色ムラになります。
ですが、ほとんど土で出来ている大津壁は、漆喰と比べると白華(エフロ)が起きにくく、色むらが起きにくいんです。
■並大津と磨き大津
実は、大津壁にも大きく分けて2種類の仕上げ方法があります。
・並大津
並大津には、漂白された麻すさを使い主原料に大きなはありません。
昔は、安価な並大津がよく使われていましたが、強度が弱いことから現代建築に使用されることはかなり減りました。
特に磨き大津とは施工が異なり、比較的簡単で水引き具合を見て通常のコテ押さえで仕上げます。
・磨き大津
並大津とは全く違って、磨き大津は日本壁の中でも最高級の仕上げに属します。
紙すさを使用し、磨きこまれた表面は鏡のように美しく、硬さにおいても最も優れています。
その仕上がりに伴い、左官の熟練された技術も要し、並大津よりも上質な材料を使用します。昔は、水で練った材料を数年間も保存することがあったほどです。
しかし磨き大津は、材料以上に技術に左右される仕上げであり、昔から「坪一人持」と言われてきました。
これは、職人が朝から夕方にかけて1坪(3.3㎡)を受け持ち、作業を完了するという意味なんです。
つまり、磨き大津は左官仕上げのなかでも、かなり難しい仕上げになります。
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